「北斎と広重展」 に行く
月曜日(6/13)は、日本橋三越本店で開催されている 「北斎と広重展
-幻の肉筆画発見-(原安三郎秘蔵 浮世絵風景画コレクション 初公開)」を観てきました。
葛飾北斎の 「冨嶽三十六景」、歌川広重の「東海道五拾三次」 はいうに及ばす、北斎と広重の揃い物の名品など、約 240点。
「幻の肉筆画発見」 と展覧会のタイトルにあるように、戦後半世紀をすぎても行方のわからなかった北斎と広重の肉筆画も展示されていて、まさに「質と量」ともに充実した蒐集家の個人コレクション。
最後のほうは「・・・もうお腹いっぱいです」という感じでした。(^^)
*写真はクリックで拡大します。
こちらの図録は¥2,100 。ちょっと高めなのですが、図版もきれいだったし、解説も充実してて、人それぞれかと思いますが、わたしにとってはお買い得。
「原安三郎秘蔵 浮世絵風景画コレクション 初公開
北斎と広重展 -幻の肉筆画発見-」
会期:2005年6月7日(火)~19日(日)
午前10時~午後7時30分(最終日は午後6時閉場)
会場:日本橋三越本店 新館7Fギャラリー
入場料:一般・大学生900円 (三越カードで、本人と同伴一名まで、入場無料。)
くわしくは、「こちら」 をクリック。
北斎と広重展出品作品は、「こちら」 をクリック
印象に残ったものを挙げると、
まず、葛飾北斎の浮世絵から
最初は、いわずと知れた 「冨嶽三十六景」。
浮世絵の画像は、アダチ伝統木版画技術保存財団のHP(「こちら」 をクリック)の中にある「アダチ版画研究所ギャラリー 」【浮世絵版画編】の中で紹介されている 「こちら」 をクリック。
以下の画像(ただし、肉筆画を除く) も 同サイトから。 各図のタイトルを クリックしてみて下さい。
「江戸日本橋」からはじまって、激しい波が砕け落ちる一瞬をとらえた構図が素晴らしい 「神奈川沖浪裏」。
当時の輸入物の科学染料「プルシャン・ブルー(ベロ藍)」と従来からの植物性の染料「本藍」で彩られた青空と、赤富士のコントラストが美しい 「凱風快晴」。
(北斎の冨嶽三十六景「凱風快晴」を独自のアウトライン技術を用いて複製・表示した東京大学総合研究博物館の 「こちら」 のサイトも、なかなか興味深いものがありました。)
突風にひらひら舞い上がった 何枚もの紙きれと笠、風にあおられる旅人たちの姿が印象的な 「駿州江尻」。
大きな桶の間から見える富士の構図が意表をついた 「尾州不二見原」。
図録解説の藤澤紫氏(学習院大学非常勤講師)によれば、「冨嶽三十六景」は、当初の36枚揃いのほかに、人気が出たため追加された10図を加えた、計46図。 「70歳代の北斎の意欲作」ということで、感嘆せずにはいられません。
何事も才能と情熱がありさえすれば、「もう遅い」ということはないのですね。
北斎の 「諸国瀧廻り」 のシリーズ中、 幾重にも分かれた水の流れの表現が面白かった 「下野黒髪山きりふりの滝」 も印象的でした。
その次に、全10図の 「千絵の海」。
図録解説の藤澤紫氏(学習院大学非常勤講師)によれば、 「智慧の深さを海に例えた」 言葉遊び、とのこと。
こちらも色彩のコントラストが美しく見ごたえがありました。
なかでも、 「神奈川沖浪裏」 を連想させる 「総州銚子」、網を張る漁師を描いた 「総州利根川」、夜の漁を描いた 「甲州火振」、鯨漁の様子が描かれた 「五島鯨突」、漁師たちの姿が活き活きと描かれた 「待チ網」 などが印象に残りました。
その次に、「冨嶽三十六景」 とほぼ同時期に発表された、全11図 「諸国名橋奇覧」。
図録解説の藤澤紫氏(学習院大学非常勤講師)によれば、実景に取材したものだけでなく、想像力を駆使したものもあるとのこと。
たとえば、「足利行道山くものかけはし」 や、「飛騨の堺つりはし」 など。 この 「つりはし」、怖すぎです。
「かめゐど天神たいこはし」 は、実際に取材したものでしょうか?すごーく登りにくそうです。
次に、肉筆絵のコーナーへ。 (画像は、「こちら」 をクリック。)
北斎の「鮑(あわび)と細魚(さより)」 は、細魚を描く きりっとした筆致で、数え88歳の作品とのことで驚きました。
「神功皇后」(数え86歳の作品) も、きりっとした衣装のアウトラインが印象的。
広重は、もっと柔らかい感じ。 「雪月花 東都吉原八朔の雪・更科の月・吉野の桜」 が美しかった。
図版の解説(小林忠氏(国際浮世絵学会理事長 学習院大学教授)によれば、「明治期に来日して日本美術品を多数収集した、アメリカ人ウィリアム・ビゲローの旧蔵品とのこと。
広重の属した歌川派の開祖、歌川豊春の「遊女と禿二人」は、表情・衣装がことさら美しく思えました。
・・・なんだか長くなってしまいましたが
次に、歌川広重の浮世絵へ。
「東海道五拾三次之内」 (東海道五十三次)に、やはり圧倒されました。
図録解説の藤澤紫氏(学習院大学非常勤講師)によれば、 「『保永堂版 東海道』の名で親しまれる広重の風景画の代表作で、(中略) 東海道の街道沿いの宿場53図と起点と終点となる日本橋と京都三条大橋の2図を加えた計55図からなる大作である。 (中略) 「各所に広重の創意がいかされている」作品とのこと。「箱根 湖水図」の豊かな山の色彩はたぶん想像で、まさに創意が生かされた作品だと思いました。
もちろん揃いでコレクションされており、すべて見終わったときにはだいぶ疲労ぎみになりました・・・。
でも、見ごたえありの素晴らしい浮世絵の数々でした。
印象に残ったものをあげると、
「日本橋 朝之景」。
朝焼けの空の下、大名行列の一行が日本橋を渡りはじめ、魚売りが橋の袂にいるところなど、
江戸時代の日本橋ってどうだったんだろう、と想像力がかきたてられました。
美術の教科書に掲載されていた 「蒲原 夜之雪」 は、しんしんと降る夜の雪の情景が印象的。
同じく美術の教科書に掲載されていた 「庄野 白雨」 は、雨の描写と山道を急ぐ旅人たちの描写が素晴らしかった。
宿場の図を次々眺めていくうちに、実際旅をしているようで面白かったです。
広重の 「京都名所之内」と「浪速名所図会」のシリーズは、人物が多く出ていて面白かった。
広重の 「義経一代記」 も、人物描写、ひらりと宙に浮いている義経の動きなどが、面白いシリーズでした。
大判三枚続きの 「雪月花」 は、画面広がりが感じられる構成で、穏やかな画面ながら、自然の雄大さが感じられた作品で、 疲れが癒されるような心持ちになりました。
最後に広重とこれに影響を受けたゴッホの作品の対比もあって、やっぱりそこに流れる空気感が違うなぁという感じ。
本当に盛りだくさんで見ごたえあり。風景画は当時の風景・風俗も知ることができ、本当に行ってよかったと思いました。
余談ながら、この日はたまたまこちらの展覧会の前に、アロマテラピーのマッサージを受けていました。
全部見るには結構時間が必要だったし、体力も消耗するのでマッサージを受けておいてよかったなあと思いました。
展覧会の後は、友人と人形町 「三晃家」で飲んで、再びエネルギー・チャージできました。(^^ゞ (「ぐるなび」は、「こちら」 をクリック。)
美味しいお酒と肴がそろっていて、富山の民家にあった太い梁などを使ったインテリアで雰囲気も良く、お気に入りのお店です。
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