「モダン・パラダイス展」 (大原美術館+東京国立近代美術館 ―東西名画の饗宴) を見る
先日は、竹橋にある東京国立近代美術館で開催されている 「モダン・パラダイス展」(大原美術館+東京国立近代美術館 ―東西名画の饗宴) に行ってきました (東京国立近代美術館で、2006年8月15日(火)~10月15日(日)まで) 。
この展覧会は、 大原美術館、東京国立近代美術館、両館の代表的コレクション(絵画・彫刻・写真)100余点が一堂に会する展覧会。
近代美術(モダンアート)の百花繚乱のパラダイスといった趣きで、とても楽しめた展覧会でした。
■モダン・パラダイス展:NIKKEI EVENTS GUIDE
展覧会は五部構成。 それぞれ二つの作品を対比している趣向に工夫が見られました。
(NIKKEI EVENTS GUIDE に掲載されていた作品画像は 「こちら」をクリック)
I 光あれ
クロード・モネ 「睡蓮」と 菱田春草 「四季山水」を対比。
印象に残った作品は、 幼い頃羊飼いをしていたという ジョヴァンニ・セガンティーニ「アルプスの真昼」。光溢れる画面からは、 草や山羊の匂いまで伝わってきました。
II まさぐる手・もだえる空間
ピエール・スーラージュ 「絵画」と 横山操 「塔」を対比。
横山操の「塔」は、 谷中墓地にあった「五重塔」の放火直後の姿を、 黒々と力強い直線を強調して描いた作品。
印象に残った作品は、ゲルハルト・リヒター「抽象絵画(赤)」。赤々とコテで引かれた線の隙間から 自然の風景が滲んで見えるような、やや大きめの作品。
III 心のかたち
岸田劉生「麗子肖像(麗子五歳之像)」と アンリ・マティス 「画家の娘 -マティス嬢の肖像」を対比。
波打ち際を ざんばら髪の女たちが歩いていく、 関根正二 「信仰の悲しみ」(重要文化財)や、 目がイッちゃってて怖い、 ダイアン・アーバス「国旗をもつ愛国主義の青年」の写真が印象に残りました。
ちなみに、スタンリー・キューブリック監督の映画 「シャイニング」の中で、 瞬間的に出てくる双子の女の子の写真はダイアン・アーバスの作品。(その他の作品)
IV 夢かうつつか
パブロ・ピカソ 「頭蓋骨のある静物」と 靉光 「眼のある風景」を対比。
私が注目している、 "やなぎみわ"の作品もありました。「寓話シリーズ 無題Ⅱ」の、サーカスのテントを頭からすっぽりと被ったその女は、幼女の足に老婆の手・・。 いろいろ想像がふくらむ作品でした。
ギュスターヴ・モロー 「雅歌」は、 耽美的な少女漫画の味わい。
V 楽園(パラダイス)へ
ピエール=オーギュスト・ルノワール 「泉による女」と 土田麦僊 「湯女」(需要文化財) を対比。
ポール・ゴーギャン 「かぐわしき大地」が見られたのも好かったが、 屋久島の苔むす森の巨大な写真、トーマス・シュトゥルート「パラダイス13屋久島日本」は、 夏に屋久島に行ったばかりなので印象に残りました。
萬鉄五郎 「裸体美人」(重要文化財)は、 発表当時全く評価されなかったとのこと。 美の先覚者は苦労がつきまといがちというエピソード。
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