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妙心寺展 @東京国立博物館 その2 国宝 「瓢鮎図」

昨日2/25(水)は、東京国立博物館・平成館で開催されている特別展 「妙心寺展」 へ
妙心寺展 オフィシャルサイト http://www.myoshinji2009.jp/

前期展示にひきつづき 後期展示も非常に見応えがありました。(平成21年1月20日~3月1日(日)。 前期(2/8(日)まで)と後期(2/10(火)~3/1(日))で、一部展示替えあり。展示品リストPdf.
★前期展示については、 「妙心寺展 @東京国立博物館 その1」

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後期のみの展示で、ことに印象に残ったものは「花卉図屏風」と 「瓢鮎図

重文 「花卉図屏風」 (海北友松筆 6曲1双 安土桃山~江戸時代・17世紀 京都・妙心寺蔵)
「花卉図屏風」は、金地濃彩。 右隻に描かれた大輪の牡丹の花々は、思っていたより色使いが繊細。 離れて見ると、フワッと金地から浮かび上がって見えました。
そして、この右隻と左隻とを両方離れて見ると、左隻に描かれた梅の枝、柴垣、椿などとのバランスも絶妙。

※お土産に買った、「花卉図屏風」の小さなクリアファイル
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国宝 「瓢鮎図」(ひょうねんず) (大岳周崇等31名賛、如拙 筆、 室町時代・15世紀、京都・退蔵院蔵)
「瓢箪で鮎(なまず)を捕らえられるか」という題について、 室町幕府4代将軍 足利義持 が、 如拙 に命じて 「新様」(しんよう) で描かせたもの。 画面上方には、五山の僧たちの賛。

後でウェブで調べてみたら、IRIZ:研究室 (International Research Institute for Zen Buddhism):五山文学研究室に、この絵についての優れた論文がありました。
芳澤勝弘『瓢鮎図・再考』(初出 『禅文化研究所紀要 第26号』(禅文化研究所、2002年))

この「画賛の意味するところ」の頁 では、 島尾新 「瓢鮎図-如拙筆 ひょうたんなまずのイコノロジー-」を引用したうえ、 あえて 「瓢箪を握ってはいない男の手」 を描いた如拙の真意を探求しています。
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そして、 この論文では、「瓢箪」、「鮎」、そのいずれも、 常に転々自在に変化し、 捉え難い 「心」 の比喩と解釈し、 「『心(瓢箪)で心(鮎)を求める』というテーマを絵画化したもの」 と結論づけています。

※「鮎」は、本来「ナマズ」を意味した漢字で、「鯰」はアユと区別するため、日本で作られた漢字。

単に 「上手な絵だったなー」 で終わる絵ではなく、 その絵の意味するところを読み解く必要があるとは思いましたが、 転々捉え難い 「心」 を表現したという結論には、頷けるものがありました。
禅については、私自身、もっと勉強する必要がありますが。

先月の終わり、出光美術館の「文字の力・書のチカラ」特別展で見た一休宗純 二大字 「心法」(文明3年(1471))では、「心」の文字が、天地逆さま、かつ鏡文字で書かれていましたが、「一休宗純」も妙心寺派ではないものの、同じ臨済宗の禅僧。

いずれも、 自在に変化し、捉え難い 「心」 を表現したのだと思いました。

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瓢鮎図はその後、 「大津絵」 の代表的な画題の一つとして、 猿が瓢箪で鯰を捕らえようとしている絵として描かれました。
そして、 さらには、この大津絵を題材とした舞踊、長唄 「瓢箪鯰」で、舞踊として表現されたりしています。

※先日2/22、NHKの芸能花舞台で 「大津絵の世界~舞踊・長唄“藤娘”“瓢箪鯰”」 をやっていました(出演:西川大樹 (瓢六)、西川申昌(鯰)。コミカルな舞踊で、面白く拝見しました。
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ちょっと脱線ですが、大津絵を検索していたら、アメリカのクリーブランド美術館 (Cleveland Museum of Art)、公式サイト)にたくさんの日本美術コレクション(Japanese Art)があるのに驚きました。
大津絵では、大津絵の「藤娘」「鬼の巡礼」

前回行った際に書いたエントリー:「妙心寺展 @東京国立博物館」でも書きましたが、 今回展示されている、 狩野山雪 筆 「老梅図」 も、 アメリカ・メトロポリタン美術館に所蔵されていますし、 かなり多くの日本の美術品が海外に所蔵されているのですね。

Googleマップ地図(オハイオ州 クリーブランド美術館)
クリーブランド, OH 44106付近の airport hotel (Google map 地図&情報)

追記: その後、 「未来をひらく 福澤諭吉展 @東京国立博物館 表慶館」 に行きました

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