妙心寺展 @東京国立博物館 その1
昨日は、東京国立博物館・平成館で開催されている特別展 「妙心寺展」 へ。
★追記:後期は、 「妙心寺展 @東京国立博物館 その2 国宝 「瓢鮎図」」。
東京国立博物館では、平成21年1月20日~3月1日(日)。 前期(2/8(日)まで)と後期(2/10(火)~3/1(日))で、一部展示替えあり。展示品リストPdf.
★妙心寺展 オフィシャルサイト http://www.myoshinji2009.jp/
ことに目を惹いたのは、現在アメリカ・メトロポリタン美術館に所蔵されている、狩野山雪 筆 「老梅図襖 旧天祥院障壁画」(江戸時代 17世紀)。 図版解説によると、狩野山雪 (1589-1651) は、若冲や蕭白らとともに「奇想の系譜」に位置づけられているとのこと。
ダイナミックに上昇、下降、そしてまた上昇する太い幹。 老梅にもにも関わらず、途中の枝から真っ直ぐに伸びる緑、そして絢爛と咲き誇る梅の花。 その迫力に圧倒されました。
右側には繊細に書き込まれた八重の梅。 左側には黒い岩肌と紅白の花という、その配置のバランス感覚も素晴らしい。
一体どのような経緯で、 アメリカ・メトロポリタン美術館に所蔵されたのでしょう??
★アメリカ・メトロポリタン美術館の、 コレクション・デジタル・データベースの画像[The Old Plum]
★Attributed to Kano Sansetsu The Old Plum (1975.268.48) Heilbrunn Timeline of Art History The Metropolitan Museum of Art
このデータベースには、製作年として ca. 1645 (=およそ1645年ごろ=狩野山雪55歳頃の作品。)、 日本美術蒐集家の ハリー・GC パッカード (Harry GC Packard)の東洋美術コレクションだったなどアメリカでの来歴等が記されています。
・・・NYのMet. museum にも いつかは行ってみたいなぁ・・・
ひきつづき、英語は勉強しておかねば。。
http://www.metmuseum.org/visit/general_information_japanese
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次に、私が惹かれたものは、水墨画の数々でした。
★重文 「瀟湘八景図」 狩野元信 筆 4幅 室町時代・16世紀 京都・東海庵蔵 (~2/8)
実物を見てはじめて伝わってくる、その絵から漂う、なんとも形容しがたい魅力に惹きつけられました。自分が画中の人になったと想像して見ると、非常に楽しい。
★重文 「達磨・豊干・布袋図」 李確 筆 3幅 中国 南宋時代・13世紀 京都・妙心寺蔵 (~2/8)
線をすうっと引いているだけなのだけど、その筆の線が絶妙。
★重文 「枯木猿猴図」 長谷川等伯 筆 2幅 安土桃山~江戸時代・16~17世紀 京都・龍泉庵蔵 (~2/8)
近くで見ると、一見無造作に見える線が、離れて見ると、枝の様子など巧みに表現されているところが素晴らしい。
★「達磨像」 白隠慧鶴 筆 1幅 江戸時代・寛延4年(1751) 愛知・正宗寺蔵
2メートルを越す大きな和紙に、豪快に描かれた達磨図。 書き手の大胆、おおらかな気性が伝わってきます。
★「山水楼閣人物図螺鈿引戸」 4面 中国 明時代・16世紀 京都・妙心寺蔵
すべて螺鈿の装飾。 細緻、豪華の極み。
同じく細緻な螺鈿装飾。「楼閣人物螺鈿座屏」 伊勢屋直七作 1対 江戸時代・嘉永2年(1849) 京都・龍泉庵蔵。これが我が家にあったなら。。
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その他、1591年、豊臣秀吉57歳の時に、側室淀殿との間にできた棄丸(鶴松)の葬儀が、妙心寺で行われたそう。3歳で夭折した棄丸(鶴松)への愛情を感じさせる、棄丸所用の武具と守り刀、玩具船(いずれも重要文化財)。棄丸亡き後、これを見た秀吉の心中、いかばかりであったか。 胸が締め付けられました。
織物・刺繍の数々も素晴らしく、たとえば、「立涌に菊文様壇引」 1枚 安土桃山時代・16~17世紀 京都・長慶院蔵は、 寄進を受けた小袖の布をつなぎ合わせて作った壇引。 どんな小袖だったのか、想像するだけでも楽しいものが。
花園天皇の知性を感じさせる墨蹟も良かったし、重文 太平記 巻第四・十三も、あぁこれが、「太平記」として読み継がれてきたのだな思ったり。
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ところで、 妙心寺 (京都市右京区花園)は、建武4年(1337年)、花園法王が自らの離宮を禅寺として創建。 臨済宗の、末寺3400を超え最大規模の宗派である、妙心寺派の大本山。 石庭で超有名な「龍安寺」も、臨済宗妙心寺派の寺院なのですね。
今年は、初代住職、関山慧玄(かんざんえげん)(無相大師)の650回忌であり、その大法要(遠諱(おんき))を記念。
この「禅」の教義は、インドの達磨大師、中国の臨済禅師を経て、日本へと伝来。
「禅」というと、座禅や禅問答など、物質的なものに囚われることのない深遠なものを連想してしまうのですが、 今回の展覧会では、国宝、重要文化財を含む、墨蹟、唐絵と水墨画、屏風や襖絵の名品の数々、非常に細緻な螺鈿装飾等々、非常に見応えのある展覧会でした。
後期に展示される、国宝 「瓢鮎図」 、重要文化財 「花卉図屏風」もできれば見に行きたいと思っています。
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コメント
>※これで、ちょうどこのブログの記事の数が、1,000になりました
パチパチパチ
凄い数字ですね~、おめでとうございます!
私も、本展、行ってきました。
たしかに老梅は、格別に印象的でしたよね。
全体に、意外、といっても良いぐらい良い作品に出会えた展示でした。
ということで、すでに2回目も行ってしまいましたよ。
瓢鮎図、花卉図屏風、楽しみですね~。
投稿: あのじ | 2009.02.05 00:46
本展へは、あのじさんが、ブログでとっても良かったって書いていらしたんで、前期が終わるまでには行ってみなくっちゃと思って行ってみました。あのじさん、すでに2回も行っていらしたとは!
私も図録で細部を見ては、あーいいもの見せていただいたなーと。でも、写真と実物とはやっぱり違うんだよね。
妙心寺には行ったことがないけど、たとえ行って見学しても、ここまでは見せてくれないだろうから、後期も楽しみですね
投稿: きのこ | 2009.02.05 13:41