松本清張 「日本の黒い霧」 「書道教授」 「真贋の森」、 中島誠之助 「ニセモノ師たち」
思わず時を忘れて、小説に没入する喜びを味わっている今日この頃。
昨今ありがちなハウツー本より、 優れた小説、 深い洞察、示唆に富むエッセーなどに夢中になるほうが、 よっぽど幸せになれるような気がしますが、 いかがでしょうか?
以下は、 最近読んで、非常に面白かった本の一部です。
まずは、 松本清張の 「日本の黒い霧 (文春文庫)」 のうち、 名推理として知られる 「下山国鉄総裁謀殺論」。
恥ずかしながら、 私、この年になるまで 「下山事件」 をよく知りませんでした。
戦後日本を占領していた、 最高司令官マッカーサー率いる GHQの内部の G2 (民生局) と GS (参謀第二本部・作戦部)が、 激しい勢力争いをしていて、 謀略をめぐらしていたことも。
おそらく秘密裏に関係者から収集したであろう、 膨大な資料に基づき、 積み重ねられていく緻密な推理。
これまで闇に葬られていた事件に推理で挑む、 松本清張の並々ならぬ気迫を感じる名著です。
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次に、この「日本の黒い霧」の一部も掲載されていますが、宮部みゆき責任編集の 「松本清張傑作短篇コレクション (文春文庫)」。
ことに中巻にある、「書道教授」 が、凄っごく面白かった あぁ~、こんなにバッサリ、 鮮やかにヤラレターーーと思った本はそうそうないかも。
住宅街に、わびしく店を出している呉服屋。 その商品の横に並べられた名札、 その気品ある墨字で書かれた書に惹かれる主人公。 果たして、その呉服屋の正体は・・・。
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下巻にある 「真贋の森」 は、 実際にあった骨董をめぐる事件をベースにしたもの。
「なんでも鑑定団」のTV番組でもおなじみの 中島誠之助 著 「ニセモノ師たち (講談社文庫)」 には、氏が勇気をもって執筆された、 ニセモノ作りの数々が出ているけれど、 松本清張が、 中島先生のいう、 「気合が入って、非常に手の込んだニセモノ作り」 を、 巧みな心理描写を交錯させ、 小説として完成させたのが 「真贋の森」 。
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そして、 この中島誠之助 著 「ニセモノ師たち」 も、 そのあまりの面白さに、 ほぼ一日で読了しました。 掃除も、晩御飯を作るのさえも、 面倒くさくなっちゃうほどに(笑)。 もっとも、 掃除はともかく?晩御飯だけは、ほぼ毎日作ってますので、ご心配なく~。
すぐれたニセモノと、ニセモノ以前のものの違い。 なかでも、 あっぱれな人物は、 なんといっても 「渡正」のおじいちゃんでしょう(笑)。 江戸時代の多宝塔、あのエピソードには、 なんとも仰天。
店先に鮎の置き土産、 屈指の仏像コレクターだった超高級クラブの社長などのエピソードには、 その当時の中島誠之助先生に感情移入し、 ドキドキ感を味わいました。
骨董蒐集は、素人が生半可な安易な気持ちで始めちゃいけないものだということが、よぉーーくわかる本でした。
私のような素人が骨董蒐集をする際のアドバイスもあり、 至れり尽くせり。
もっとも、私は値の張る骨董蒐集をはじめる気持ちも財力も、 まったく持ち合わせてはいませんが(笑)。
できるかぎり、 出来のいいホンモノを見て審美眼を磨き、 中島先生のいう、 「新たな骨董」 を暮らしに生かして、楽しめればいいなと思っております。
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以上の本は、 もともと夫が買っていた本です。
自分が親しくお付き合いしている人や、興味を惹かれる人の、 非常にオススメの小説やエッセーを読むことは、 読書の幅が広がるだけでなく、 新たな世界に踏み入れるようなワクワク感があって、 とても楽しいものです。
さて、あなたは、 最近どんな本を読んで、夢中になりましたか?
ハウツー、 教訓モノは、 あえて禁止です
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