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「『バガヴァッド・ギーター』―神に人の苦悩は理解できるのか?」赤松明彦

週一、ギーター(インド哲学)クラスに通うようになって、本を読んだだけではいまいちピンとこなかったことがわかったり、ヨーガの教え、カルマの法則など、知る喜びを味わっている今日この頃です。

先日のヨガの帰り、神保町の岩波書店にふらっと立ち寄ってみつけたのが、『バガヴァッド・ギーター』―神に人の苦悩は理解できるのか? (書物誕生―あたらしい古典入門)
赤松明彦 (著) (岩波書店)。
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その内容は、

第一部 書物の旅路 「バガヴァッド・ギーターの誕生」

1,インド文化における「口伝」(口頭伝承)の重要性と、ヒンドゥー教の中で、その宗派を超えて愛唱されてきた「聖典」、バガヴァッド・ギーターの誕生。
・・・ギータークラスでも、サンスクリットの原典をみんなで唱和しているし、インド大使館の前任のシュクラ先生は、レッスン中のメモを許さず、アーサナの名前を暗誦させられたっけ。

2,古代インドの大叙事詩 「マハーバーラタ」の一部であるバガヴァッド・ギーターの原型、その位置づけ。

3,1823年ラテン語訳と注釈をつけたシュレーゲルと、デーヴァナーガリー文字の印刷。出版と新しい学の誕生。その翻訳をめぐる論争。

第二部 作品世界を読む 「人の苦悩と神の変容」

1,神の表象をめぐるフンボルト、ヘーゲルの論争。
・・・このヘーゲルの論述部分は、「極めて暴力的な読解といえなくもない」と赤松氏が評しているように、我田引水的で的を得ていないため、ナナメ読みしてもよいかも!?

2,非暴力を貫いたカンディーの実践的読解、シモーヌ・ヴェイユとの対比。
・・・カンジーがはじめてギーターを読んだのは、ロンドン留学中の20歳の頃で、しかも英訳ってところが意外。

3,最後の、最終詩節における神の変容。 神自らが人間の救済に乗り出す、「自力から他力への劇的変化」。
・・・この本のキモだと思われる部分。

ギーターの重要なポイントを抜き出され、定評ある上村訳より、より読みやすい日本語訳と、わかりやすい解説により、その作品世界が読み解かれているところが良かったです。 一日で読了できました。

バガヴァッド・ギーター 上村勝彦訳(岩波文庫)
バガヴァッド・ギーターの世界―ヒンドゥー教の救済 上村勝彦 著(ちくま学芸文庫)
とともに読むといいと思いました。

ヨーガというと、 ストレッチなどのアーサナばかりを連想しがちだけど、 ギーターでは 「ヨーガに立脚して諸々の行為をせよ」 というカルマヨーガの教えが重要視されていて、結構深いものがあります。

ダライ・ラマ 死と向きあう智慧でも、 チベット密教が、 ヨーガの修行を重視して、チャクラについて解説されていたので、 再読予定。
死の恐怖を克服し、死のプロセスを利用してより高い境地へ到達するための 「無上ヨーガタントラ」 の奥義が書かれています。

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