プラド美術館 Museo Nacional del PRADO #2 ベラスケスの像、美術館のコレクションとその創設、おすすめ本
「プラド美術館 Museo Nacional del PRADO #1 日本語パンフレット、ゴヤの像、再入場スタンプ」のつづき。
プラド美術館は、パリのルーブル美術館、サンクト・ペテルブルグのエルミタージュ美術館とともに、「世界三大美術館」の一つ。
美術館 正面のベラスケスの扉
王室コレクションを中核とする作品収集は15世紀スペイン・ハプスブルク家のコレクションにはじまり、ことに、スペイン黄金時代のフェリペ2世(1527-1598)はイタリア絵画、フランドル絵画、「快楽の園」で有名なヒエロニムス・ボスの作品群などを広く蒐集。 イタリアのティツィアーノは、このフェリペ2世とその父カール5世(スペイン王カルロス1世, 1500-1558)の肖像画家となりました。
その後、このフェリペ2世の孫、フェリペ4世(1605-1665)は、ベラスケスを宮廷画家に任じ、ルーベンス、デューラー等々、選りすぐりの作品を蒐集。王室コレクションを飛躍的に充実させました。
Diego Velázquez ベラスケスの像 Wiki
もっとも、美術館の創設は1819年、スペイン・ブルボン朝の頃。
ゴヤ (Wiki) を宮廷画家に任じたカルロス3世の頃、自然史博物館にする目的で建設に着工。 ゴヤの「カルロス4世家族像」(1800-01)の左から2番目に描かれている皇太子、のちのフェルナンド7世が、父カルロス4世(カルロス3世の息子)を追放してナポレオンを引き入れるも拘束され、ナポレオンによるスペイン占領。
その後、ゴヤの「マドリッド1808年5月3日」にも描かれた 「スペイン独立戦争」を経て、王座に返り咲いたフェルナンド7世により完成されました。
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プラド美術館公式ガイドブックの解説も詳しいですが、「怖い絵」シリーズ、最近、角川文庫から出版された「怖い絵 泣く女篇
」(ベラスケスのラスメニーナスの解説もあり)でおなじみの中野京子著「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)
」、「名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)
」に、ベラスケスやゴヤなどのカラー絵画とともに、それに関わる人々の姿が赤裸々かつドラマティックに物語られています。
美術館に行く前、行ったあとでも楽しめる本。 プラド美術館所蔵作品も深く解説されていて、お勧めの本です。 かくいう私は旅行後読みはじめましたが、それでもいろんな発見が多々あり、非常に面白くて愛読中。
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World Youth Day 2011 (世界カトリック青年大会)のため、全世界からたくさんの巡礼者の若者がプラドにも詰めかけていました。 大会期間中は特別に時間延長されていましたが、私たちが美術館を後にした午後6時頃、信じられないほどの大行列が入口から延々続いていて、びっくり。 みなさん、教区ごとに旗を持って、芝生で休憩されていました。
ゴヤの扉を経て、正面ベラスケスの扉へと向かう歩道。 緑の並木、芝生がとても綺麗。
つづきます。「プラド美術館 Museo Nacional del PRADO #3 Café Prado and Paseo del Prado」
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コメント
こんにちは。最近の楽しみのスペイン旅行記、3つもアップされていてじっくり見させていただきました。
プラド美術館、ソフィア王妃美術館と並んで(ピカソのゲルニカを観たいんですよ)スペインではぜひ行ってみたい美術館です!一足お先に雰囲気を味わっております。実際行かれるのはいつになるやら(涙)
東京に来ている「着衣のマハ」、先日観て来ました。すごい人出でオバサマ方がうるさかったのが残念ですが(泣)ぜひとも、「裸のマハ」と並んだところを観てみたいですね~!
またの更新を楽しみにしています!
投稿: アビー | 2011.11.10 14:59
見ていただいてありがとうございます。本当に励みになります。
絵がお好きだったら、プラドは丸一日かけてもいいくらいです。裸のマハも是非。行こうと思ったら、きっといつか行かれますよ!
本文にあげた、中野京子さんの「怖い絵」シリーズやヨーロッパ名家を絵で読み解くシリーズ本は、事前に読んでいけばもっと良かったかもと思っています。
NHKの「テレビでスペイン語」のテキストに、「美術からひも解くスペイン」というスペイン絵画の連載されていますが、ベラスケスやゴヤだけでなく、日本人には馴染みの薄いスルバランやムリーリョなどの絵の見どころが解説されていて、見ておいて本当に良かったです。今、再放送されているので、よかったら。
ところで、私も今日、上野の西洋美術館でやってるプラド美術館所蔵 ゴヤ展、見てきました。
平日だったし、3時過ぎに着いたら、とてもすいてて見やすかったです。絵に関係ないことをおしゃべりしているオバサマがたもいませんでしたし(笑)。あれは困りものですね。
ソフィア王妃美術館にも何点かあった素描も、プラドでは見られなかったので、今回の展覧会では素描作品がたくさん一挙に見られたのが良かったです。
それにしても、戦争の惨禍のような暗い題材を、丹念に何作も描いたゴヤ。これだけは記録に残しておかねばという強い思いが伝わってきますね。
アビーさん、コメントどうもありがとうございました☆
投稿: きのこ | 2011.11.11 02:36